≪目次≫
01:[ ご挨拶 ] 今月の社長メッセージ
02:[ コラム ] まず実行してみる
03:[二ュース] 連結子会社の清算申請のお知らせ
【ご挨拶】
新たな繁栄を図る 代表取締役社長 CEO兼CIO 三木 康弘
残暑ならびに新型コロナウイルス禍に対し、心よりお見舞い申し上げます。
徐々に経済回復の足音が聞こえて来るこの頃でありますが、徳島では伝統の祭り阿波踊りも中止となる等コロナウイルス感染の第2波第3波が気になり全く安心できない日々が続いています。コロナ禍の影響もあって米中の対立は更にエスカレートし、欧州はじめ世界中でグローバリズムから分断された国家第一主義への回帰が進んでしまっています。元には戻れそうもない世界情勢の中で、私たちもニューノーマルな社会に向け再構築を急がなければと感じさせられます。
これから立てる計画は、不確実性の中で複数のシナリオを用意しつつもゴールは決して見失わないようにしたいと思います。それはコロナ禍に適応し成長する事です。コスト至上主義を戒め一貫した経営理念を浸透させ、事業領域を再設定し、中長期的視野で、勇気をもって捨てるもの、改めるもの、新しくするものを断行していく絶好の機会にしたいと考えます。
去る今月24日に上海の子会社は清算を申請し、拠点としては安徽省の合弁会社に集約、当社に於ける中国事業の位置づけは大きく変わりました。
(連結子会社の清算申請のお知らせ)
→ https://www.awapaper.co.jp/news/info/424.php
また従来からの主力製品であるエンジン用濾材などは、タイの拠点に主力を移し協業体制を構築したことで、市場変動の耐性が高められました。
今ここからは日本です。多くの世界一を誇った製品や素材が中国や韓国にその座を奪われていますが、一地方の企業であっても日本回帰によるルネサンスの一翼を担おうと密かな闘志を燃やし、アライアンスを頼み、これまでに無い生産技術や素材開発、そして超高品質品の輩出に挑んでいきたいと考えております。
易経に「時に応じて物事を切り盛りし適宜処置して変化させ、更に推進して物事を通じさせる。これによって社会の道を整え、民を導く事を事業という」とあります。有効な事業は、組織の使命と状況によって決まるともいわれ、今回の新型コロナウイルス禍で当社はどう変化しいかに世のため人のために貢献できるかをしっかりと掘り下げて新事業推進を図っていきたいと思います。
今社会の分断化が進みつつありますが、人も企業も集団でこそ生き残り発展していくものでありますので、利他の心を忘れず心を開き、デジタルトランスフォーメーション(DX)も使いこなして新たな繁栄を図っていきたいと思います。
【コラム】
まず実行してみる 執行役員 研究開発部長 横田 博
夏休みに故朝永振一郎博士が書かれた「物理学とは何だろうか」(*1)を再読しました。思えば、今を遡ること37年前の受験生時代に恩師から進められて一度通読したままになっていたセピア色になったこの書籍を実家の本棚から取り出し、現在の視点で感じ取ったことがありましたので、ここに記したいと思います。この著作は先生の数々の研究経験からニュートン力学、量子力学、熱力学などが発展してきた歴史を淡々と平易な文章で述べられています。印象に残ったことは、物理学で種々発見された原理原則は過去の歴史を踏み台にして塗り替えられていることが繰り返し述べられていることでした。
思えば、当社のコアコンピタンスも過去からの歴史を紐解けば、当時の市場ニーズに合致するために開発された技術から数段の階段を駆け上がり現在の阿波製紙の姿になっているように思います。それは機械抄き和紙の量産から始まり、パルプ系特殊紙やコットンリンター紙、無機材料系の粉体紙を上市し、更には炭素系材料や合成繊維系材料を用いた機能紙から、小型廃水処理装置までを市場に投入していることからも、工業分野であっても過去の歴史を踏み台として新しいコアコンピタンスを進化・醸成していると言えます。
また、朝永博士は量子力学を大学で教えている学生から「先生、スピンというものが授業を聞いてもさっぱりわかりません。どういうものでしょうか?」という質問を受けた時、学生に対して「スピンを百回繰り返して声に出してごらんなさい。そうすれば自然に理解できますよ。」と伝えたようです。まず、声に出してイメージする、イメージから現実の姿を理解する、ということを先生は言われていたと思います。私は敢えて「まず、実行してみる」という読み替えをしています。
これら当社の種々開発、上市されてきた製品も数々の過去の先輩たちの失敗と絶えないチャレンジ精神の賜物であると思います。私は少し仕事が行き詰まると、当社の製品展示室へ入ることにしています。展示室に入ってそれぞれの製品を見つめていると「まず、やってみよう!」という開発当時の先輩たちの声が聞こえてきそうです。また、先輩方から励まされているように思うこともあります。
現代では数値解析技術が進化して材料の設計段階から実験しなくても、あたかも設計検証ができるような風潮がありますが、実験を行ってみると数値解析で見落としていたことが出てくることもあると思います。
研究開発の成果が企業として一定の利益が出るまでにはいくつかの山や谷を越えねばなりません。あきらめる方が楽な時もあるかもしれません。土俵際まで追い込まれたときだからこそ、「エウレカ!(そうだったのか!)」と言えるような発見、発明が見つかることもあると思います。
当社の製品は、これまで比較的ライフサイクルの長いものが多かったのですが、グローバル化、軽薄短小化、多様化などの影響で現行製品のライフサイクルが短くなり、これら市場ニーズに合致した新製品の開発、新規事業の創出が喫緊の課題となってきています。
このような中で研究開発活動として、「まずは、実行してみる」という姿勢を今後も大切にしていきます。
昨今、コロナ禍の中でお客様と直接顔を突き合わせて商談をすることが難しくなってきました。しかし、ビジネス系SNSやウェブ会議システムを適材適所に使い、オープンイノベーションを効率的に推進していきたいと考えています。徳島から世界へ、新たな技術、製品を発信していけたらと思います。
(*1)『物理学とは何だろうか』上、朝永振一郎、岩波書店〈岩波新書〉、1979年5月
【今月のトピックス】
■ トピックス 1
連結子会社の清算申請のお知らせ
当社の連結子会社である阿波濾材(上海)有限公司は、2020年8月24日に上海市市場監督管理局に清算申請を行い、清算を開始いたしました。
→ https://www.awapaper.co.jp/news/info/424.php