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【2021年9月号】備えあれば憂いなし

メールマガジン

≪目次≫ 
       
 01:[ ご 挨 拶 ] 今月の社長メッセージ
 02:[二ュース] 「徳島ビジネスチャレンジメッセ2021」に出展
 03:[二ュース] 水力発電100%のCO2フリー電気の導入について
 04:[  コラム ] 絶縁系放熱材のご紹介について

【ご 挨 拶】
當下一念    代表取締役社長 CEO兼CIO 三木 康弘

 仲秋も過ぎて、すっかりと季節の変化を感じるこの頃です。
緊急事態宣言も重点措置も来月からは解かれ、改めてwithコロナの新日常を模索する生活が始まろうとしています。世界では、3回目のワクチン接種も検討が始まり、特効薬の開発も進んで来ました。リベンジ消費などという言葉も聞かれるように、景気回復が期待されます。

 そんな中、国際政治の一翼を担い、欧州のリーダー役を永年務められたドイツメルケル首相の退陣による後継首相とその政策が注目されています。日本においては、菅総理に代わって岸田氏が自民党の新総裁に選ばれました。米中対立も複雑な絡みの中で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を掲げてアメリカ、オーストラリア、インドと日本の4カ国は、新たな枠組み「クアッド」で連携していく確認を既にしています。一方、中国は不動産バブル崩壊の懸念が高まる中TPP加盟の申請を行い、続いて台湾も申請を行うなど、経済も政治も極めて緊迫した情勢となって来ました。この未来が不透明な時代に於いて、新総理には今般掲げた決意を貫き、日本のグローバルな役割責任を担いつつ、経済の再生にしっかりと取り組んで欲しいと思います。
 
 国内経済は、既に10月から最低賃金の引き上げや生活必需品の値上げ、更に外国製品の値上げ発表が行われ、影響が懸念されています。当社に於きましても、一部原料価格やエネルギー費用、更に物流諸費用も上昇しており、製品値上げのお願いをせざるを得ない状況にあります。世界的なインフレと金融緩和が見通される中で、日本もデフレ脱却と確実な景気の回復を願いつつ、コロナ禍後のまさかの危機も想定し、常在戦場で歩んでいかなければならないと思っています。
 
 他方、当社は大きな社会変革に向けた環境対応の目標として、工場やオフィスが排出するCO2の削減やカーボンニュートラルを考慮した商品開発、さらにリサイクルの促進を具体的に設定しております。
 そしてこの度、2030年度に向けて2014年度比で37%以上のCO2排出量の削減を目指し、水力発電100%のCO2フリー電気の導入を決めました。

(水力発電100%のCO2フリー電気の導入について)
→ https://www.awapaper.co.jp/news/info/452.php

 当社は、地球環境に感謝し、自然と文明の共生を目指し、全社員参加のもと地球環境の保全及び改善に取り組んでまいります。そして何事に対しても油断することなく、訪れるすべての未来を機会ととらえて、當下一念(※)で計画の成就を強く一筋に想い行動してまいります。

(※ 今を一生懸命生きることの大切さを説いた中江藤樹の言葉)

【今月のトピックス】

■ トピックス 1  
「徳島ビジネスチャレンジメッセ2021」に出展
当社は、2021年10月21日(木)~10月23日(土)にアスティとくしまにて開催されます「徳島ビジネスチャレンジメッセ2021」に出展いたします。
  → https://www.awapaper.co.jp/news/info/453.php

■ トピックス 2  
 水力発電100%のCO2フリー電気の導入について
当社は、10月1日から本社本館および研究所の電気を水力発電100%のCO2フリー電気へ変更することといたしました。
   →  https://www.awapaper.co.jp/news/info/452.php

【コ ラ ム】
絶縁系放熱材のご紹介について   執行役員事業開発部長 横田 博

 MLBロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平氏は、投手としても打者としても活躍する「二刀流」選手として広く注目を集めています。
このまま順調に投手としての記録が積み上がっていけば、「2桁勝利&2桁本塁打」という、かつてのベーブ・ルース選手が手にした記録に並ぶ大記録を達成することになります。しかし、この記録も大谷選手にとっては、通過点に過ぎないかも知れません。投手と打者という二律背反する役割を同時に極めるというのは本人の類稀なる体格・体力のみならず、真摯な努力、そして、監督やコーチなどの周囲の理解と期待がないと達しえないハードルの高いものと思います。
 
 今回は事業開発部で二律背反する事象に取り組んでいる例をご紹介します。当部ではいわゆるサーマルマネジメント材料事業として断熱材や放熱材などを次世代新規事業として取り組んでいます。このうち、放熱材についてはこれまでCARMIX熱拡散シートと呼ばれる黒鉛フィラーから構成される導電性放熱材料を展開しています。一部、空調マネジメント市場向けに実用化されておりますが、市場としての素材汎用性で見た場合、絶縁系の放熱材が切望されています。なぜなら、導電系放熱材を用いる場合、発熱素子と放熱材のアセンブル工程において導電性放熱材の一部が脱離すると、コンタミネーションとして電気回路に短絡を生じさせるリスクもあるため、導電系放熱材の市場はある程度限定されています。

 絶縁系放熱材市場を俯瞰すると、グリースなどに放熱フィラーを充填させたもの、シリコーン樹脂に放熱フィラーを添加したもの、熱伝導の高いアルミナ、窒化アルミニウムや窒化ケイ素などを焼結したセラミックス基板、また、セラミックスの骨格に金属を流し込んで作られるMMCと呼ばれるものなどがあります。セラミックスのような硬い材料からシリコーン樹脂やグリースなど軟らかい材料で構成されるなど、用途に応じて作り分け・使い分けが
なされています。放熱というと素材の熱伝導率の値が高いほど優れているように思いますが、同時に熱抵抗と呼ばれるファクターも重要になってきます。それは発熱する素子、例えば、ICなどの半導体デバイスと効率よい面積で密着し、熱を逃がすため素材の柔らかさが重要であり、また、放熱材の厚みを薄くできる技術も重要です。例えば、放熱材の厚みを半分にすることができれば、それは素材の熱伝導率を2倍にした効果と等価になります。したがって、放熱材の厚みを薄くすることは放熱性向上にとって重要なファクターとなり得ます。

 その点、抄紙法で製造される機能紙を見た場合、素材の厚みを薄くすることには有利に働きますが、これまで放熱はできても絶縁が叶いませんでした。また、絶縁はできても放熱が叶いませんでした。もし、放熱と絶縁の「二刀流」が可能になるならば、産業上の利用価値・分野は大きく拡がることが期待できます。当社では材料設計、製造プロセスなどのあらゆる点を見直し、今回、絶縁系放熱材を開発することができました。ちなみに、当該素材は上記でご紹介した何れの放熱材分野にも属することなく、独特な市場位置づけを期待しています。厚みは薄いもので75μm、熱伝導率は50W/m・K(面方向)となっております。現在、お客様への紹介を開始しており、
また、今後以下の展示会で詳しくご紹介をすることを考えています。

(1)徳島ビジネスチャレンジメッセ
    オンライン展示会10/18~10/23
    リアル展示会10/21~10/23
   ⇒ https://2021pre.challenge-messe.com/

(2)AABC San Diego  
    オンライン展示会12/7~12/9
   ⇒  https://www.advancedautobat.com/us/

 当部も大谷選手と同じように二刀流で活躍できるような商材を増やし、新たな事業、市場を開拓していけるよう鋭意努力して参ります。