≪目次≫
01:[ ご挨拶] 今月の社長メッセージ
02:[ コラム] 春になって考えたこと
【ご挨拶】
今年度の課題 代表取締役社長 三木 康弘
一足早く新緑が楽しめる季節となりました。全国各地で真夏日を記録するなど、初夏の過ごしやすい日が続いています。気候変動の影響かもしれませんが、年初からの温暖な気候はエネルギー消費も少なくCO2も削減できて、歓迎すべき調整現象とも言えます。
日本の2022年度貿易赤字は、過去最大の21.7兆円となりました。
高騰するエネルギーや資源価格に加え円安が追い打ちをかけたようです。
かつてであれば、自動車や家電の輸出で稼いでいましたが、産業競争力の低下により存在感を落としていたり、生産拠点を消費地に近い海外にシフトしたりしてしまった事などから、日本は構造的な赤字体質となってきました。もちろん競争力の高い部品や素材産業は多く残っていますが、付加価値という点では補え切れていないようです。
当社も同様に海外生産を重視し、子会社TUA(タイ・ユナイテッド・アワペーパー)社の生産能力拡大を図ってきました。効率面、CO2排出面、立地面、トータルコスト面に於いて有意性が認められますが、サプライチェーンにおけるリスクヘッジや人件費水準、技術開発面などを考慮すれば日本国内の拠点の重要性を見直していく必要性を感じています。
国内生産の最大の強みは、共働開発やカイゼンを共有頂けるパートナーが多く存在している事でしょうか。人口減少もあり、活力が失いかけている日本を元気にするイノベーションの一翼を担いたいと強く思うこの頃です。
ところでイノベーションと言えば今、「Chat GPTに代表される対話型生成AI」が話題沸騰中です。インターネット上の情報を世界中から集め、疑問に答え、言語の壁を越えて文章を整理し、判り易いレポートを作成してくれます。日本政府を含め企業でもこぞって活用を検討し始めました。
当社にとっては、未知のパートナーを探してくれたり、事業発展のヒントを提供してくれたり、資料作成等の生産性を飛躍的に高めてくれたりと期待は膨らみます。解の無い複雑性を増した世界情勢の中で全体最適を探し、みんなが納得する提案をしてくれたら、更にまた有り難いと思います。
しかし一方、誤情報や個人情報の漏洩問題、様々なリスクや懸念なども多く寄せられています。
便利なツールとして賢く使いこなしていくために、人間が良心を持って正しく判断していく能力を補強してくれるぐらいの可能性をもとめたいですし、悪用防止の徹底も追究しつつ、人間とAIが共存する社会のあり方について考えていきたいと思います。
結びとなりますが、今年度も激しい変化の年になると思われる中、当社も変化に挑戦していきます。特に多様な人材を活かすことが重要となっており、これまでは検討してこなかった外国人労働者の受け入れや、夜間現場を含む女性社員の活躍の場づくりなど、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)からの脱却にも取り組んでいきたいと思います。
ダイバーシティ&インクルージョンを掲げて事業発展を目指して参りますので、ご指導宜しくお願い申し上げます。
【コラム】
春になって考えたこと 水環境事業部マネージャー 高山 和彦
新しい期を迎え、このメールマガジンを読んでいただいている方々に置かれては忙しくお働きのことと思います。この原稿を書いているのは4月下旬で、四国地方では田植えもほぼ終了しています。
今から一月前には「まだ寒く」暖房をつける、厚着をするなどしていました。あと一月も経つと半袖を着るようになっていると思います。
イー・フ-・トゥアンという地理学の学者によると(空間の経験という本)季節の移り変わりは「循環的時間概念」、未来から過去のような流れは
「直線的時間概念」であり、この二つの概念は植物などの植生、山がちな台地、開けた平野などの国土の状態に影響を受け、時にはそれが国民性にも影響を及ぼすということが書かれています。
ブラジル、アフリカの熱低雨林に居住している部族は、見通しが悪化させる熱帯雨林が一年中繁茂しており景色が変動しない、昼夜の区別がつきにくい、気候が変動しにくい、食料が豊富にあるなどの条件で、時間の移り変わりおよび「未来・過去」という概念を持たず、また「遠近感」などもあまり発達していないとのことです。
これに対して昼夜が明確でかつ季節による変動が明確に感じ取れる環境に住んでいる場合には、昼に働き夜は休み、食料供給の不安に対抗するため星の動きから季節を先取りして対応するという行動をとってきたとのこと。
季節をはじめとする時間変動、またその土地の植生変動をはじめとする環境の変化は人間の「将来に対する不安」を喚起し、それに対応するために種々の技術を発達させてきたのだろうと感じています。
日本人は不安を感じる遺伝子(?)がかなり多いというような新聞記事を読んだことがあります。それが何に起因するかはわかりませんが台風、大雨、洪水などの人間にはどうしようもない災害と向き合わなくてはならず、その不安に対処しようとした結果、先人たちは種々の分野で技術を開花させたのだろうと感じます。
自分を育んでくれた気候、国土、社会環境に対して感謝しつつ、受け継いだものをより良くして次世代に渡していければ、と初老に差し掛かりつつある自分はこれからも頑張ろうと思います。