加工技術

当社では、様々な加工技術を用いて、シートに特殊な用途に合わせた機能を付与します。

含浸加工

ディップスクイズ加工

所定濃度の加工液をバットの中に満たし、液浸透性の良い紙または不織布を加工液中に浸漬し、スクイズロールで過剰な液を絞り出し所定の薬液を付着させる装置です。水溶性樹脂、エマルジョン系樹脂、溶剤系樹脂、フィラーや顔料のコンパウンド樹脂等手軽に種々の加工ができるのが特長となります。基材は通常0.5~0.7Kg/15mm以上の湿潤強度を要します。

塗料・・・紙加工に使用する合成樹脂溶液やエマルジョンなどの加工薬品全般を指します。

コーティング

阿波製紙では、コンマダイレクトコート、コンマリバースコート、キスコート、グラビアコートの手法によりコーティングを行います。

コンマリバースコート

コンマダイレクトは直接紙に加工液を塗布するのに対し、コンマリバースは加工液を一度ロールに付け、クリアランス調整されたロッドナイフとロール間から出てきた加工液を紙または不織布に転写する加工方法です。一定量の加工液が正確に塗布できる利点があります。

エアーナイフコート

あらかじめ液の滲み止め加工(サイズ加工)を施した基材の片面に過剰の加工液をキスコートした後、塗工面にエアーナイフと呼ばれる圧力空気流を吹き付けて過剰な加工液を掻き落とし、塗工量の調整と均一化を行う加工法です。粘度の低い液を表面の粗い基材への加工に適しています。

コンマダイレクトコート

ロッドの一部にナイフコート同様の刃を組み込んだものでナイフコートの一種です。加工精度が非常に高いことと粘度が数千cpsの加工液でも加工できる特長があります。逆に粘度が低すぎるものは漏れ防止のための粘度調整を要します。仕上がり時の特長は基材の凹凸を埋め塗布表面を平滑にできるところです。さらにパンに入れた加工液は最後の一滴まで使いきれるので、高価な薬液の加工に適しています。

キスコート

塗料パンの中に浸漬したドライブロールにより塗料を汲み上げ、トップロールに塗料を移し、プレスロールでトップロールに紙を押し付けて塗工する方法です。

グラビアコート

印刷に使用されるグラビアロールの手法を紙加工に用いたものです。彫刻ロールに加工液を転写し、さらにその加工液を基材に転写加工する加工方法です。彫刻ロールのパターンや深さを変えることにより微塗工加工ができる利点があります。

塗料・・・紙加工に使用する合成樹脂溶液やエマルジョンなどの加工薬品全般を指します。

熱圧着・接着剤加工

接着剤加工については、ホットメルト(加工)、ホットメルト樹脂加工(ドライ方式・セミドライ方式)があります。

熱圧着加工

各種合成繊維の融点を利用した熱加工が可能です。温度域はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アラミドなどの融点に相当する130~300°Cの不織布のヒートセットまたはラミネート加工が可能です。

ホットメルト加工

ペレット状ホットメルト樹脂を溶融器で溶かし基材に転写する方法です。フィルム状で転写する場合と繊維状で転写する場合があります。前者は各種機能素材の複合化に適しており後者は通気性を必要とするフィルター素材の貼合に適しています。

ホットメルト樹脂加工(ドライ方式)

ホットメルト接着剤を溶剤に溶かし、金属ロール上に塗布し溶媒を揮発除去後、基材に転写する方法です。再加熱により接着剤として作用します。

ホットメルト樹脂加工(セミドライ方式)

エマルジョン系の接着剤樹脂をナイフコーターまたはロールコーターで基材に塗布し、水分を乾燥除去する方法です。使用時に再加熱により接着剤としての機能を発現します。

表面加工

阿波製紙では、コルゲート加工・エンボス加工・プリーツ加工の加工方式で行います。

コルゲート加工

通常コルゲート加工といえば段ボールの加工をさしますが、当社では段ボール加工はフルート加工と称し、コルゲート加工と区別しています。本加工は円周上の流れ方向に刻まれた溝を持つ2本のロールの間に基材を通し、波型加工を施し濾紙の表面積を増やすための加工方法として用いられます。形状を変えることにより、バッテリーセパレーターの電極の接触防止としても用いられる方法です。

エンボス加工

凹凸のある二本のロールの間に基材を通すことにより紙に模様を付ける加工方法です。熱をかけない場合もありますが、深絞りの場合は形状保持のために加熱加工されます。意匠性だけのために用いられる場合と機能発現のために用いられる場合があります。

プリーツ加工

フィルターの表面積を増やすために基材をスカートのギャザーのように折加工をする加工方法です。フィルターエレメントの見かけの表面積と内部の実表面積の比率が大きいほどフィルターとしての特性が発揮できるため、自動車用だけでなく空調用にも広範に用いられている加工方法です。表面積をできるだけ増やし密着が起こらない硬い仕上がりが要求されます。

仕上加工

阿波製紙では、ワインダー(ドラムワインダー、センター巻きワインダー、2軸ワインダー)、カッター断裁機(ギロチン)を使用して、仕上げ加工を行います。

ワインダー(リワインダー)

スリッター等から出てくる紙を幅、流れ両方の寸法を仕上げて巻取り、製品化する機械です。巻取り方式によっていくつかに分類されます。

ドラムワインダー(サーフェイスワインダー)

巻取りがドラムロールの上に乗っていて、ドラムロールの回転により巻取りが自転しながら巻き上がって行く型のものです。多く使われている型で、大型高速化が可能。ドラムロールが1つのものと2つのものがあります。

センター巻きワインダー

巻取りの軸を直接駆動し、巻き上げてゆく型です。柔らかく巻くことができます。

2軸ワインダー

センター巻きワインダーの一種で、巻取り軸が2つあり、細いスリットでも2つの軸に分けて、重なることなく巻き取ることができます。

断裁機(ギロチン)

定盤上にカッター工程終了後の平判紙を乗せて、上下に移動する刃によって切断する機械です。平判の切り口やコーナー角度、縦横寸法を正確に裁断する場合に用います。

カッター

連続した紙のシートを規定された縦横の寸法に切断して平判にして行く機械です。通常カッターといえばロータリーカッターのことを指し回転刃によって切断します。

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